人事考課
賃金構成の変遷
賃金制度について
■賃金体系
今までの賃金体系 |
||
賃金項目 |
||
所定内賃金 (時間外手当の計算 基礎になる金額) |
基本給 | 年齢給 |
勤続給 | ||
職能給 | ||
役職手当 | ||
営業手当 | ||
資格手当 | ||
所定外賃金 | 家族手当 | |
住宅手当 | ||
通勤手当 | ||
時間外勤務手当 | ||
賞与 | 通常賞与 | 夏季賞与 |
年末賞与 |
新しい賃金体系 |
||||
賃金項目 |
内容 |
|||
月 例 賃 金 |
所定内賃金 (時間外手当の計算 基礎になる金額) |
基本給 | 基礎給 | 一律固定の賃金 |
職務給 | 職務価値と本人の習熟度により決まる賃金 | |||
成績給 | 本人の評価により上下する賃金 | |||
調整給 | 期間限定にて賃金総額を調整する賃金 | |||
役職給 | 職責に対する賃金 | |||
営業手当 | 外勤業務の実費弁済分 | |||
資格手当 | 公的資格取得者に対する賃金 | |||
所定外賃金 | 家族手当 | 生活保障のための賃金 | ||
通勤手当 | 通勤にかかる費用の実費弁済 | |||
時間外勤務手当 | 法律により最低支給額が定められているもの | |||
賞与 | 通常賞与 | 夏季賞与 | 個人の評価に連動する業績配分 | |
年末賞与 | 個人の評価に連動する業績配分 | |||
決算賞与 | 会社の業績に連動する業績配分 |
賃金制度の変更により、賃金が急に増えたり、下がったりすることは好ましくありません。したがって、調整給により移行前の賃金総額と新制度移行後の賃金総額を同じにします。調整給は期間限定とし、期間終了後は廃止します。
基礎給
基礎給とは一律固定の賃金項目であり、全ての社員に適用します。
基礎給の金額は各都道府県の最低賃金を参考に決定します。最低賃金が改定されると、それに応じて基礎給も翌年4月より改定します。
■基礎給の計算式
A県の最低賃金が時給650円の場合、次のようになります。
基礎給=644円×173時間=111,412円 → 111,500円
職務給
職務給は各人の労働対価の意味を持ち、担当職務・能力・努力・成果によって個別に決定します。
具体的には該当する等級と号俸によって決まり、号俸は人事考課の結果により決定します。
■職務給の昇給(改定)例
職務給はその職務の習熟(人事考課の結果)に応じて昇給しますが、上限に達した場合、それ以上昇給しません。
職務給の昇給は号俸の増加で行い、その基準は以下のようになります。
総合評価 |
判断基準 |
会社業績 |
||
計画大幅達成 110%以上 |
計画通り |
計画未達 90%未満 |
||
S |
90点以上 |
+9 |
+6 |
+5 |
A |
80点以上 |
+8 |
+5 |
+3 |
B |
60点以上 |
+6 |
+4 |
+2 |
C |
40点以上 |
+5 |
+3 |
+0 |
D |
40点未満 |
+3 |
+2 |
-1 |
職務給表
■職務給表の例
等級 |
1級 |
2級 |
3級 |
4級 |
5級 |
6級 |
7級 |
・・・ |
上限号俸 |
61 |
61 |
61 |
61 |
61 |
61 |
61 |
・・・ |
号差(差額) |
800 |
1,000 |
1,200 |
1,400 |
1,400 |
1,400 |
1,200 |
・・・ |
上記のような設定の場合、金額は以下のようになります。
(単位:円)号俸/等級 |
1級 |
2級 |
3級 |
4級 |
5級 |
6級 |
7級 |
・・・ |
1 |
156,000 |
190,000 |
217,000 |
262,000 |
312,000 |
372,000 |
415,000 |
|
2 |
156,800 |
191,000 |
218,200 |
263,400 |
313,400 |
373,400 |
416,200 |
|
3 |
157,600 |
192,000 |
219,400 |
264,800 |
314,800 |
374,800 |
417,400 |
|
4 |
158,400 |
193,000 |
220,600 |
266,200 |
316,200 |
376,200 |
418,600 |
|
5 |
159,200 |
194,000 |
221,800 |
267,600 |
317,600 |
377,600 |
||
6 |
160,000 |
195,000 |
223,000 |
269,000 |
319,000 |
379,000 |
||
7 |
160,800 |
196,000 |
224,200 |
270,400 |
320,400 |
|||
8 |
161,600 |
197,000 |
225,400 |
271,800 |
321,800 |
|||
9 |
162,400 |
198,000 |
226,600 |
273,200 |
||||
10 |
163,200 |
199,000 |
227,800 |
274,600 |
||||
11 |
164,000 |
200,000 |
229,000 |
|||||
12 |
164,800 |
201,000 |
230,200 |
|||||
13 |
165,600 |
202,000 |
||||||
14 |
166,400 |
203,000 |
||||||
15 |
167,200 |
204,000 |
||||||
16 |
168,000 |
|||||||
17 |
168,800 |
|||||||
・ ・ ・ |
成績給
成績給は前年の評価の結果によりアップダウンする賃金項目です。多くの企業では、評価がストレートに反映する洗替式賃金テーブルを採用しております。
■成績給の例
(単位:円)S |
A |
B |
C |
D |
|
1~3等級 |
12,000 |
9,000 |
6,000 |
3,000 |
0 |
4~6等級 |
16,000 |
12,000 |
8,000 |
4,000 |
0 |
7~9等級 |
20,000 |
15,000 |
10,000 |
5,000 |
0 |
- 新入社員の1年目の成績給は、該当等級のBの金額とします。
- 新制度移行時の成績給は、全員Bの金額を適用します。
- 成績給は積上方式ではなく、洗替方式で運用します。洗替方式とは、前年の金額をリセットして、新たに決定する方式です。
家族手当
年齢に連動する賃金項目を廃止するため、その分を家族手当という形で充実させます。
■家族手当の例
(単位:円)現行 |
新制度 |
|||
対象 |
家族手当 |
対象 |
家族手当 |
|
配偶者 |
10,000 |
配偶者 |
10,000 |
|
第1子 |
3,000 |
扶養子女 |
10,000 |
|
第2子 |
2,000 |
|||
第3子 |
1,000 |
- 税法上の扶養配偶者・扶養子女とします。扶養子女については18歳までとします。
- この家族手当は基準外賃金であり、割増賃金の基礎算定額には含まれません。
基本給改定イメージ
考課表の作り方
職能要件書・職務記述書から考課表を作り、具体的な評価を可能にします。
サンプルデータ |
サンプルデータ |
|||
職能要件書 | 職務記述書 | |||
資格等級別に会社の期待する仕事の仕方 | 職種ごとにやらねばならない仕事の詳細を記述した基準書 | |||
評価基準 |
||||
人事考課表(資格等級別) |
職務評価表(個人別) |
基本給の習熟昇給額
■評価結果による基本給の習熟昇給額例
総合点 (100点満点) |
総合評価 |
昇給額の割合 |
号俸の増加 |
80点以上 |
S |
標準の2.4倍 |
+12号 |
73点以上80点未満 |
A |
標準の1.8倍 |
+9号 |
66点以上73点未満 |
B |
標準の1.4倍 |
+7号 |
59点以上66点未満 |
C |
標準昇給額 |
+5号 |
52点以上59点未満 |
D |
標準の0.4倍 |
+2号 |
45点以上52点未満 |
E |
標準の0倍 |
±0 |
45点未満 |
F |
標準の-0.4倍 |
-2号 |
- 号俸は毎年変更・設定します。
昇格の仕組みについて
■昇格基準の例
卒業方式(卒業基準) |
入学方式 |
|||||
等級 |
最低滞留年数 |
昇格累積点 |
上司推薦 |
昇格試験 |
面接審査 |
担当職務による |
9等級 |
2年 |
指定職務を担当 |
||||
8等級 |
2年 |
6 |
○ |
○ |
○ |
指定職務を担当 |
7等級 |
2年 |
6 |
○ |
○ |
○ |
指定職務を担当 |
6等級 |
2年 |
5 |
○ |
○ |
○ |
指定職務を担当 |
5等級 |
2年 |
5 |
○ |
○ |
○ |
指定職務を担当 |
4等級 |
2年 |
4 |
○ |
○ |
○ |
指定職務を担当 |
3等級 |
2年 |
3 |
○ |
○ |
||
2等級 |
2年 |
2 |
○ |
○ |
||
1等級 |
2年 |
2 |
○ |
- 卒業方式とは、「基準を満たすと上の等級に上がることができる」という基準の考え方です。
- 入学方式とは、「基準を満たすとその等級に上がることができる」という基準の考え方です。
- 昇格累積点は昇格すると一旦ゼロになり、新しい等級で最初から累積することになります。
- 指定業務と等級定義を参考に決定します。
賞与について
■賞与総原資額決定の方法
賞与と会社の業績の連動を明確にし、業績の良し悪しで賞与の増減を決定します。労使ともに業績向上という共通目標を持つことで、会社の繁栄と個人の繁栄が両立するようにします。
実務的には賞与を夏期賞与・年末賞与・決算賞与の3回とし、夏期賞与・年末賞与は経営計画に基づき支給総額(平均支給月数)を決定します。決算賞与は、会社業績がある一定水準を越えた場合その超過分に応じて支給するようにします。
今まで |
これから |
|||
支給時期 |
平均賞与月数 |
支給時期 |
平均賞与月数 |
|
夏季賞与 |
2ヶ月 |
夏季賞与 |
1.5ヶ月 |
|
年末賞与 |
2ヶ月 |
年末賞与 |
1.5ヶ月 |
|
決算賞与 |
1.0±αヶ月 |
決算賞与は会社業績に連動する形とします。予定通りの会社業績であれば現行水準になり、業績が上回った場合はより多く、下回った場合は少なくなります。
この業績とは粗利金額から社員の努力で削減できる経費(人件費や水道光熱費、交通費など)を差し引いた金額で管理し、その数値を事前に公開し、月々の進捗状況もわかるようにします。
決算賞与基準額=年間粗利額-社員管理可能経費(人件費や水道光熱費、交通費など、決算賞与分は除く)
個人賞与の計算
個人の評価を反映して、賞与額が決まるようにします。半期の評価点で賞与総合評価を決め、等級と評価によって賞与ポイントを算出します。賞与ポイントの総合計で賞与総原資を割り、1ポイントあたりの金額を計算します。1ポイントあたりの金額を個人のポイントで掛けたものが、賞与金額になります。
■賞与ポイントの例
等級 |
90点以上 |
80点以上 |
60点以上 |
40点以上 |
40点未満 |
個人賞与 =個人賞与ポイント /賞与ポイント総合計 |
S |
A |
B |
C |
D |
||
9 |
900 |
740 |
600 |
480 |
380 |
|
8 |
740 |
600 |
480 |
380 |
300 |
|
7 |
600 |
480 |
380 |
300 |
240 |
|
6 |
480 |
380 |
300 |
240 |
200 |
|
5 |
380 |
300 |
240 |
200 |
180 |
|
4 |
300 |
240 |
200 |
180 |
170 |
|
3 |
240 |
200 |
180 |
170 |
160 |
|
2 |
200 |
180 |
170 |
160 |
150 |
|
1 |
180 |
170 |
160 |
150 |
140 |